アキレス腱周囲炎|原因・症状・治療法
2020/11/16
アキレス腱周囲炎
原因
中年以降のジョギングやウォーキングを習慣にしている人に好発。他に、ラグビー・アメリカンフットボールなどのコンタクトスポーツ。
【誘因】
・一度に急激な負荷が加わった際
・ランニングや跳躍動作による下腿三頭筋(ふくらはぎ)への負荷の増大
・腱の変性(加齢変化)
・筋力や柔軟性の低下
・回内足や扁平足
※回内足とは足首が内側に傾斜している変形のこと。
【病態】
ストレス(負荷)の反復によってアキレス腱に小さな断裂や瘢痕が生じて変性し、アキレス腱の炎症が周囲のパラテノン(腱鞘間の滑液組織)の及んで慢性的な炎症・肥厚をきたしてけんと癒着する。
【症状】
アキレス腱の熱感、腫脹、疼痛、圧痛など。進行すると足関節の運動障害(背屈障害)、歩行障害をまねく。足関節を動かした時、アキレス腱がきしむような摩擦音を生じるケースもあります。
【検査】
・臨床所見 ・レントゲン検査 ・MRI検査 ・超音波検査
◉スポーツ遍歴や臨床所見(局所の腫れや熱感、圧痛)から確認。
◉類似症状をもつ病態(滑液包炎、踵骨の骨折後の変形、腱の骨化、腓腹筋の部分断裂など)との鑑別のためにはレントゲン検査やMRI、超音波検査などを行う。
【治療】
◉保存療法は、局所の保護・安静(スポーツ活動の減量・中断)、薬物療法(外用薬、内服薬)、ステロイド局所注射、理学療法、装具療法(足底支持板の使用が有効)など。
◉難事例に対しては手術療法(癒着剥離術や腱鞘切断術)が検討されることもある。
【予後】
保存療法によって回復することが多い。
【当院での治療法】
まず最初に行うのはアイシングです。理由は、炎症を起こすと患部に腫脹(腫れ)が起こるからです。この炎症を引かす時に、ライソソームという物質が体に発生するのですが、この物質は炎症細胞を貪食(食べる)してくれて炎症を抑えようとします。しかし、患部になにもしなかったり温めてしまうとライソソームは過剰に発生してしまうために炎症細胞の周りの正常細胞まで間違えて食べてしまいます。そうすると炎症を引かすどころか、逆に炎症を広げてしまうことになるのです。ライソソームはアイシングを行なっても通常通り分泌されるので炎症細胞のみを食べてくれるのです。
次に患部の組織回復のために超音波治療を行います。患部の血流を改善し早期改善に導きます。
その後は、アキレス腱を痛めてしまうと歩行の際に周囲の筋肉が患部を守ろうと硬くなりますので下腿三頭筋(ふくらはぎ)をマッサージし負担を軽減させます。
最後に足関節を下腿三頭筋に対してテーピング固定を行います。出来るだけ患部の動く範囲を狭くすることにより負担を軽減するようにテーピング固定します。