ギックリ腰｜Q&A｜原因・対処・治療

重たいものを持ち上げた瞬間、下ろす瞬間、顔を洗おうと前屈みになった瞬間、などで突然腰に痛みが走り動けなくなることを、ぎっくり腰といい、正式名称は「急性腰痛症（いわゆる腰の捻挫）」といいます。前兆もなく激痛が腰を襲う別名、『魔女の一撃』とも名付けられております。

経過としては、１週間〜２週間程度で回復してくのですが、仕事の姿勢や筋力不足によっては４週間ほど痛みが続く方もおられます。しかし、２週間以内に腰の痛みが全く改善しない、脚が痛くなったり痺れたりなどの症状が現れたら腰部椎間板ヘルニアなどの別の疾患も考えられますので、その場合はMRI検査をお勧めします。

これは、私が携わった患者さんの問診からの統計ですが、「立ち上がる瞬間」「重い物を持ち上げた瞬間」「顔を洗おうと少し体を前に倒した瞬間」というお話が多く、分かりやすくお伝えすると、「体を動かした瞬間に１ヶ所に負担が集中して発症」すると言うことです。しかし、発症は原因でなく結果なんです。体を動かした瞬間に１ヶ所に負担が集中する原因として、筋肉が硬さであったり、そのせいで関節をスムーズに動かせていなかったりしてぎっくり腰になってしまいます。これは、ぎっくり腰だけでなく体の様々な部位で起こりうる現象です。

ただし、過去に腰部椎間板ヘルニアや圧迫骨折を起こしていたが、当時は何の症状も無かったが今になって現れることもありますので、きちんと判断できる整形外科や整骨院への受診をお勧めします。整体院などの国家資格を有しない施術を受けて悪化してしまうケースもありますので気をつけてください。

まずは、体を支える筋力の強化とストレッチです。理由は、筋力が弱いと体を支えきれないのと、強化をしても伸び縮みしない硬い筋肉がついてしまうからです。特に腰に関しては、前後のバランスが重要に重要となりますので、腹筋群の強化を行いましょう。

そして、姿勢もすごく大事です。猫背や反り腰では体のバランスが崩れた状態ですので、腰への負担は大きくなります。姿勢は自分で改善させるのは困難です。理由は、崩れた姿勢だと筋力のバランスがすでに不均衡になっているので、まずは硬くなっている筋肉を和らげていく必要があります。その上で、整骨院や整体院などで骨盤や背骨のゆがみを改善する矯正治療を行なっていくと良いでしょう。

それは、POLICE（ポリス）処置です。

Protection（保護）

テーピングや装具、シーネなどで損傷部位を保護し、悪化を防ぐことが目的。

Optimal　Loading（最適な負荷）

早期に最適な負荷をかけることで組織回復する為に必要なタンパク質の生成を促します。

Ice（冷却）

頭痛の緩和、ライソソームの抑制。ライソソームとは炎症細胞を貪食（食べる）するが、ケガを起こすと大量に放出し正常な細胞まで貪食し逆効果になるので、冷やす事で抑制することが目的。

Compression（圧迫）

損傷部位やその周辺の内出血や腫れを防ぐことを目的。

EleVation（挙上）

腫れの軽減を図ることを目的。

※以前は、RICE（ライス）処置が王道でしたが、現在ではPOLICE処置が主流となっています。

ぎっくり腰にコルセットは効果があります。ただし、痛みが半減すればコルセットをする頻度は落としましょう。コルセットを付けると筋力が落ちると言うことを聞きますが、それは間違いです。本当の理由は、体を支える筋力のバランスが落ちているからです。人の体は、上下左右前後の筋力がバランス良く保たれることにより真っ直ぐに維持する事ができます。そのバランスが崩れると弱くなった部分を強い筋肉がカバーしているからなのです。腹部で言うと、お腹の筋力が落ちることにより腰回りの筋肉がカバーしているからです。しかし、補うにも限度があり限界を超えてしまうと腰の痛みに繋がります。本来、腹筋と背筋がお互いにサンドウィッチするように前後から押し合うと体は真っ直ぐ立てるのです。

ぎっくり腰でなくても、日常的に慢性的な腰痛を訴えている方は「腹横筋」と言う筋肉を鍛えてあげると緩和されるでしょう。

患部へのマッサージはお勧めしません。理由は、ぎっくり腰を起こした箇所は組織が傷ついていますので、マッサージを行うことにより患部の傷口をさらに悪化させてしまう可能性があります。マッサージはデスクワークや使い過ぎによる単なる筋肉の疲労に対しては血液循環がよくなったりして疲労回復には効果的です。

ただし、ぎっくり腰は筋肉や靭帯、神経や関節、椎間板などの原因は様々ので、整形外科や整骨院に受診し、判断してもらうと良いです。

上向きで寝ると体の構造上、腰が反った状態でストレスになります。上向きでしか寝れない方は「膝の下にバスタオルや毛布などを置き、４５度から９０度くらい膝が曲がった状態」にしてあげると腰の痛みは和らぎます。

別の寝方として、痛みの出ている方を上にして横向きに寝ると良いです。その際に抱き枕や毛布などを体の前に置いて、体を預けられる工夫をすると痛みが和らぎます。